山歩き系

2008-07-26 北鎌尾根縦走、槍ヶ岳へ その2 北鎌のコルから独標まで北鎌尾根前半

その1 水俣乗越から北鎌のコルへ
その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半
その4 上のチムニーを登り山頂へ、そして下山

薄明るくなった4時に起きる。インナーやカッパを片づけた後、進むにしても戻るにしても、先ずは腹ごしらえをする。お手軽なのでカップ麺を持ってき たが、あまりおいしくはなかった。お隣は既に出発の準備を始めている。テントから顔を出し空を見上げると、全体的に曇りだが、僅か青空が硫黄尾根の上の方 に覗いている。反対の表銀座の方も明るさが増しているようだ。N氏と話しをし、進むことにした(ところでここは、羽蟻のような虫がうっとしいところだ)。

テントを撤収し、槍ヶ岳の方へ向って手を合わせて山行の無事を祈り、5時20分過ぎに出発した。

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北鎌のコルからは、踏み跡がはっきりしているので迷うことはないが、一般の登山道に比較するとはるかに険しい。

ルートは、進むに従って厳しさを増してくる。これはなかなか良い感じだ。出発したばかりは体が重いし、雰囲気にもまだ馴染んでないのだが、岩や木につかまったり、バランスを取っているうちに体がだんだん慣れてくる。

また、高さがあって怖いと思うようなところも、慣れてくるので登りに集中できるようになるのだ。

天狗の腰掛けを越えるまでは、北鎌尾根は天上沢側は急斜面、千丈沢側は崖っぷちのような感じであるが、どちらへ転がり落ちてももちろん、まずい。

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天気の方はあまり良くない。独標はガスに隠れてしまい、姿がハッキリと見えない。暑くないので悪くはないが、時折吹く風は少々冷たい。雨も降りそうなのでザックカバーを被せ、カッパの上だけ着て進む。

天上沢側から千丈沢側へ尾根を回り込んでから、だんだん登りも厳しくなって来た。所々に岩が現われ、岩とハイマツや樺などミックスの登りとなる。

天狗の腰掛けへは、千丈沢側西面を登って行くが、なかなか高度感のある登りである。手頃な安定した岩のホールドがないため、木の根につかまりながら攀じ登る。

時々振り返っては北鎌尾根の下部を見る。まるでラクダのコブのように連なって、水俣川の方へ落ち込む。標高もどんどん高くなっているのを感じる。

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天狗の腰掛けまで登ると、ようやく独標の全貌が見える位置に来たのだが、ガスが多くなかなか姿を現してくれない。

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天狗の腰掛けもそうだが、そこかしこに花が咲いているのだが、登ることに一生懸命で撮影することもなく通り過ぎてしまった。時折、DVDで言っていた「トオヤクリンドウ」が頭の中をよぎるが、どれがそれだかはっきり分からなかった。

「キバナシャクナゲ」が咲いていたようだが、見間違いかもしれない。「ミヤマオダマキ」だけは、はっきり分かった。

天狗の腰掛けから独標へ向って一旦コルへ下り、次の登り返しとなる。いよいよリッジや岩稜の登下降になってきた。

ちょうど先を行くN氏がルートファインディングをしながら、崖っぷちを登っていた。見るからに怖そうな登りである。が、取り付いてみると体も慣れてきたせいか、案外と登れる。

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多くの人が記録しているように、掴んだ岩のほとんどがグラグラするので、体を預けるときは注意が必要である。ただし、手も足もホールドは豊富にあるので、注意して選んで利用すれば良いだろう。

トラバースする場所も、片側が切れ落ちており迫力満点だが、迂闊に歩かない限りはスリップするほどでもないだろう。しっかりとした登山靴を履いていることが大事だが。

写真で良く見る独標が、だんだんと目の前に迫って来た。ワクワク、ドキドキである。その姿は荒々しく、期待通りの風貌だ。

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独標の基部に着いて、着ていたカッパを脱ぎ、行動食用に用意したジェルを飲んで気合いを入れる。時計を見ると7時10分、北鎌のコルからおよそ2時間だ。ペースも今のところ、それほど悪くないようだ。この先は分からないが?

独標のトラバースルートへの入り口が崩壊しており、出発前に「怖いところだなぁ」と思っていたところである。実際に見ると、やっぱり怖い(;´д`)。

しかし、大天井ヒュッテの方が昨年だか一昨年にロープを張って下さっているので、ハーネスに取り付けたデイジーチェーンのカラビナをロープに掛けて、利用させてもらった。

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縦ホールドではあるが、岩を抱きかかえるようにしっかりと捕まることができるので、恐怖心に駆られなければ容易に通り過ぎることができるだろう。

ガスのおかげで千丈沢も見えないから、高度感があまりない。先ずは、独標で怖いなぁ、と思っていた最初をクリアした。

その後のトラバースルートは、ザレている場所もあるが踏み跡をたどって普通に歩ける。ザレているところから少しづつ右上して行くと、独標で一番人気の「逆コの字」の通過である。

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右側がスッパリ切れ落ちているため怖いのだが、足を乗せるホールドがあるので、思い切って体を崖に対峙させ一歩を踏み出す。さらに先に進むと、自然 と足をバンドに上げられるので、そこからコの字の中に這い上がり、後はハイハイのように進んだ。あまりカッコは良くなかったが(;´д`)。

逆コの字を越えて少し進むと、左へ回り込んで行くトラバースルートになる。ここも、足が乗る程度のバンドをトラバースするところで、右下が切れ落ちている。

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出だし、一段上方へ上がり、その後少しずつ下がって、3点確保を確実にしながら横の方へ移動して行く。

回り込んでしまうと、後は普通に歩けるトラバースルートが続く。左側が岩で、どこから上へ登るか見ながら進む。凹角があると何となく登りたくなるが、そこは我慢、前へ進みながら良く見るチムニーを探す。

と、ここかな、と思うチムニーに出くわした。スリングも掛かっているので間違いない。先の方を見ず、ここを攀じ登ることにした。

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最初、足を溝に突っ込んで見ようとしたが、どうも体のバランスが取れず、突っ込むことができない。諦めて、左足は左側の岩、右足は右側の細かいホー ルドを拾って、体を溝に入れずに攀じ登った。右足は、安定しないので少し厳しい。デイジーチェーンのカラビナをスリングにかけたので、気持ちは安心した (^_^;)。

上の方は、しっかりとしたホールドがあり、そのまま10mほど上がって行く。と、独標の稜線の方へ続くスラブが出てきた。DVDを見たせいか、つい スラブを登ってしまった。スラブを左上して、ハイマツに沿ってザラ場を落石に注意しながら右上、こんなところ登るのかな、と思いつつ足場の悪いザラ場をさ らに登って稜線へ上がった。どうやら、独標ピークより少し下方へ出たようだ。

ここで槍ヶ岳の素晴らしい姿に「ごたいめ~ん」になるはずが、ガスでなーんにも見えません (ノД`)シクシク。

つづく その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半