2008/07/11 新穂高温泉の無料駐車場で出発前夜一泊、と言っても駐車場に着いた時には、既に12日の午前1時になっていた。早々にシートを倒し、腕時計の目覚ましを4時半にセット、ブランケットを被り仮眠した。
原油の高騰など物価が上昇しており、運転するにもアクセル操作に気を使っている最近、山行もなるべくお金を掛けずに行きたいところだ。ところが、穂 高に入るための上高地となると、沢渡駐車場やバスなど結構出費しなければならない。そこで、今回の計画は新穂高温泉の無料駐車場を利用して、穂高の稜線、 槍ヶ岳を西側から眺望することにした。もっとも安房トンネルの料金は避けられないが(^_^;)。
今回もガーミンのGPSを持って行ったが、スイッチの入れ忘れと電池切れで中途半端な結果に終わってしまった。後ほど、秩父沢の雪渓横断で迷った部分を見る。
2008/07/12 4時半起床、僅か3時間だがぐっすり眠れた。コンビニで買ったシュークリームを食べ、5時に駐車場を出発した。10分ほどで無料温泉のある上の駐車場に到着、登山センターに山行計画書を投函し、蒲田川にかかる橋を渡って左俣谷へ入って行く。
蒲田川を渡り返し、少し先のニューホタカホテルの先にゲートがあり、そこから一般車は入れない。ワサビ平まで、1時間20分ほどの林道歩きとなる。 左手に大掛かりな砂防ダム工事を行ってる穴毛谷を見送り、もくもくと林道を進む。1時間くらいのところで左手、笠新道の入り口がある。予定では、明日ここ に戻ってくることになる。自転車が1台デポされていた。
ワサビ平でトイレを拝借、休憩してから出発する。20分ほど進むと奥丸山との分岐に到着、景色が開け、山登りの開始となる。
ここにも自転車がデポされていた。そう言えば、ミニバイク(モンキー)も見かけたし、どうやら、林道歩きをカットする方法のようだ。帰りの下りは気持ち良いことだろう(^_^)。
このあたりは雪渓が残っており、この先も雪渓を歩くことになる。前回の八ヶ岳天狗岳では、雪渓はほとんどなかったので楽しみだ。
河原に入って、早速雪渓の上を進んで行く。ペンキで記された石もあちらこちらにあるので、迷うこともないだろう。
雲が多く、西穂高岳の稜線が見え隠れしている。槍ヶ岳から奥穂高岳の稜線は、間に横たわる中崎尾根のため、まだ見えない。
秩父沢の広い押し出しの河原を登り続けると、秩父沢の渡しに到着した。と思ったら、橋が掛かっていない。
「目印に沿って高巻きして雪渓の厚い所を渡って下さい」と書かれている。石に飛び移って渡れそうな気もしたが、足止めのロープが気になったので渡るのを止めて、仰せの通り従うことにした。
休憩後出発、岩と木の間を抜けて行くと雪渓に出た。雪渓が切れる左手岸の木のところどころに赤布がかかっている。それを目印に雪渓を上がって行く。 目印がなくなったところが渡渉点だろうと思いこみ、さらに上がって行く。赤布の切れた場所で反対側を見ても、林の入口が見えない。
こんなに上なのだろうか?と思いつつ対岸に渡ったが、こりゃ違うわな。入口を探し、雪渓を下ることにした。ほどなく、入口が見つかった。雪渓に入ったら、そのまま渡って行けば良かったようだ。
この迷いもGPSにはしっかり記録されているのだった(;´д`)。
登山道に戻り、「ココはチボ岩」と書かれた岩を過ぎて行く。小さな雪渓を越し「そろそろ休みたいなぁ」と思ったところに、岩に矢印とともに「カガミ 1.5h」と描かれた場所に出た。時間は9時ちょうど、駐車場を出発して4時間が経過したところだ。先はまだ長いので、ここで朝食を取った。
途中、景色の良い原っぱみたいな所(多分シシウドガ原ではないかと、)を通り過ぎ、大きく右へ進路を変える地点に来た。
ここから、右手の弓折尾根との間の沢を詰めて行く。登山道のあちらこちらが雪渓に隠されているため、雪渓の上を登って行く。途中、キヌガサソウをデ ジカメに収めながら進む。尾根の上部がだんだん近づき、傾斜が緩みだし、沢の幅も狭まってそろそろかな、と思った頃、尾根の上部の平らな所に出た。
視界は一気に開け、ようやく槍ヶ岳を望める場所へ来た。北アルプスも昨年は訪れていないので、久しぶりである。
そしてこの鏡平は、すばらしい景色が望める場所である。いつか、ゆっくりと再訪してみたいと強く思った。
槍ヶ岳の姿は、本日これが最初であり最後となった。鏡平小屋の前のベンチを借りて休息後、稜線へ向けて最後の登りとなる。
鏡平を出発し、弓折岳の方へ高度を上げてゆく。鏡平はすでに眼下となり、上方には稜線へと続く登山道が、緑の山肌を一直線に稜線へ右上する。ようやく、楽しみにしていた稜線歩きが近付いてきた。
1時間ぐらいしたところで、左が笠ヶ岳、右が双六小屋へ行く分岐点に出た。時刻は11:20、お腹も空いたのでおにぎりを食べて一休憩する。稜線での食事はおいしい。槍ヶ岳の眺望が素晴らしい、はずではあるのだが、残念ながら雲に隠れてしまっている。
稜線歩きの始まりである。小さなアップダウンを繰り返し、左側は双六谷とその向こうに双六岳から双六南岳の稜線、振り返れば笠ヶ岳へ続く稜線、前方には樅沢岳と双六岳の鞍部に立つ双六小屋が見え隠れする。疲れを忘れさせてくれる景色である。
しばらく景色を楽しみながら進み、樅沢岳の西斜面に回り込んで行ったところで、本日のテンバとなる双六小屋に到着した。早速小屋へ行ってテンバ料金500円を支払い、まだ1張りしかない広いテント場で、寝心地のよさそうな場所を確保して設置した。
時刻は12:30、スープやレモネードなどで水分を補給、お日様が雲間から心地よく照らしてくれ、ぽかぽかしたテントの中でしばし仮眠した。
気が付くと時刻は2時になったところである。夜までには時間もあるので、双六岳へ行くことにした。時間と気力があれば三俣蓮華岳まで足を伸ばしたい、と考えてもいたのだが。
双 六岳へは、小屋のベンチと水場のある所から急登する。登り切ると双六岳への急登、三俣蓮華岳への中道ルートの分岐に着く。ここから山頂への急登には雪渓が 付いていて危険なため、中道ルートを進んだ途中から山頂へ登る方を行くことにした。もっとも、ここも先ほどよりは緩いが、雪渓が付いている。
雪渓を登りつめて山頂の稜線に出た。ここは、双六岳山頂から南東方面へ向けて幅の広い、平らが続く長い稜線であった。
天気があまり良くないので、雷雨の心配をしながら山頂へ向かう。お日様の当たり具合が、この双六岳から槍ヶ岳までの北側は晴れで、とても眺めが良い。反対側は雲に隠れ、明日行く予定の笠ヶ岳も見えずあまり良くないのである。
時刻は15時を過ぎ、人もいなくなり、2860mの山一つが貸し切り状態となった。それにしても広くなだらかな山頂である。便所のような狭いところの方が落ち着くと思うのは、何故だろうか?
雲に隠れて見えないが、天気が良ければ槍ヶ岳が見えるであろう。それに向かって、空母の滑走路のように平らな稜線が延びているので、ガスに巻かれたりしたらどこを歩いているか分からなくなるかも知れない。
小屋から急登した後の分岐でさらに急登すると、きっとあの舳先へ出てくるに違いない、と思うのである。
これで、本日のお務めはすべて終了だ。テントに戻って、夕食を済ませ寝るだけとなった。
来た道を足早に戻る。小屋の上から眺めた写真が右である。テンバは小屋の右側の部分。見づらいが、張られているテントが少し増えているようだ。
16:20 テンバに戻り、夕食の支度にかかる。メニューは中村屋のレトルトカレー、これがまたおいしいのなんの。山の上で食べるせいであろうか、はたまたすきっ腹にまずいものなし、であろうか。
夕食後、小屋に行って夕陽を浴びた三俣蓮華岳の山腹をデジカメに収め、明日の天気予報を聞いて、本日は就寝することとした。
つづく2日目 双六小屋から笠ヶ岳の稜線散歩
新穂高温泉無料駐車場(5:00)-ワサビ平(6:30)-秩父沢渡し(7:50)-
カガミ1.5hの石(9:00)-鏡平(10:10)-笠ヶ岳稜線分岐点(11:20)-
双六小屋(12:30)
双六小屋(14:15)-双六岳山頂(15:15)-双六小屋のテンバ(16:20)