山歩き系

2010-07-31 テント1泊 白馬三山と不帰嶮から八方へ その2

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テン場では17時頃から雨が降り、夜も降り続けた。夕食は、マカロニにレトルトのカルボナーラを掛けたものだが、体を使いすぎたせいか食欲が湧かず残してしまった。しばらく置いてから片付け、翌日に備えて早々に就寝することにした。

夜半何回も目を覚まし、その度に雨が降っているので、鑓ヶ岳温泉へ下降することも考えた。が、3時30分に目が覚めると雨は上がり、雲はなく、山や星がハッキリ見えた。おかげでモチベーションも回復、朝食のラーメンを食べて出発する事に決めた。今日は不帰嶮だ!

テントを撤収、小屋で用を足し、4:45出発。雪渓のおいしい水1L+0.5Lを持つ。シュラフやテントが水分を含んでいるせいか、軽くなってないようだ。小屋の横から来た登山道を振り返ると、白馬鑓ヶ岳がくっきり見える。

今日は天気が良さそうだ、とこの時は思った。

緩やかな登りから稜線を進み、途中で横から射し始めた朝日に手を合わせる。

一登りすると、天狗の頭に到着。眺めが大変良い。西側のピラミッドのように見えているのは、剱岳だろうか?

振り返ってみると、白馬鑓ヶ岳の向こうに見えるのが白馬岳だろう。

そしてこれから越えようとする不帰嶮は… どうやら流れる雲に隠されているようだ。天狗の大下りから登り返しがあるが、残念ながらベールで隠されてしまっている。

稜線は天狗の大下りに向かって、緩やかに下降して行く。そのうちガスに巻かれ始めてきた。こんな時太陽と反対の方向を見れば。久しぶりにブロッケン現象に遭遇した。デジカメに収めてみると、肉眼で見るよりハッキリ虹輪が写っていた。

天狗の大下りに掛る頃には、すっかりガスに包まれてしまった。見える範囲は、20mから40mぐらいと言ったところか。

登山道は一気に下降し、岩を掴みながら足を下ろして行く。鎖場もあるが、垂直ではないので恐怖感はない。長い鎖場が1ヶ所あり、そこを抜けるとつづら折りの下降を繰り返す。ガスは布に小さな水の粒を作り、湿り気が多い。いつしか方向感覚は失われてしまった。

出発してから1時間半ぐらいしたところで、どうやら最下降点のコルに着いたようで、いよいよ登り返しが始まった。出だしは多少岩を掴みながらとなったが、不帰1峰はそれほどきつくはないようだ。

登り切ったところで1峰の頭に着いたようだ(6:40)。

1峰の頭から少し下り、左上する岩壁を見るといよいよ2峰の始まりである。コルでは10名のツアー団体と思われる人たちが、休息やカッパを着るなど準備をしており、ツアーを率いる65才前後のリーダー格の人が、自分に先に行くように指示を出した。

自分もカッパを着るので、先に行ってもらった。ここからしばらく、この団体ツアーの後ろをついて行く事になる。

おばさんの多いツアー客を連れている関係で、大きな声で話が切れることなく、足の置く位置や以前の事や冬山の事など話し続けている。が、たまにこちらの事に話の内容を振ったりするのは余計だ。ほっといて欲しい。

右側は多分切落ちてるのでしょうね。

ここを登ると、格子状の鉄の橋がある。多分この辺が、天気が良ければ一番怖いところかな?と思う。

一段登ると、凹角に切れ落ちた所をまたぐ鉄の橋が掛っている。足元は、直下が抜け落ちているので怖い。写真は渡った後振り返ってみた所。

更に崖っぷちを登って行くと、少し開けたところで前のパーティーが休息していた。そのまま通過し、さらによじ登って行くと前方から団体様が下降してきた。ここにも口うるさいおばさんがおり、人の事を何か言っていた。旦那と思われる爺さんが「人の事はいいから」とか注意していた。そう、山では倒れてない限り人の事はほっといて欲しい。

そこを通過したところで、いよいよ最後のバンドを通過する。信州側のこちらは、鎖はない。写真は、このまま上に登って行くと思ったら、印のある岩をバンドが左下に下降していた。

後ろに付いた10人パーティーのガイドの親父さんが言うには、冬場はこのまままっすぐ上に登って行くとか。

バンドを左下に下降し右に回り込むと少しの登りになるが、小中学生の娘2人を連れた家族が下降してきた。彼らにはこの先に、崖っぷちの下降が待っている。さて、この登りをこなしたところでいやらしいトラバース地点となった。

対向する2パーティーの通過を見送り、トラバースに取り掛かる。ここがいやらしかったのは、スラブ状の岩場で、なおかつ足の置き場が悪いのである。手でホールドを掴むと体が上がるため、左足を置くホールドが斜め下に来る。そこで、腕を伸ばして股を開き左足をホールドに乗せるのだが、その動作が怖いのだ。

ところで鎖場なので、鎖をしっかり掴めばよい。ガイドの親父さんが、足を下ろせとか鎖を掴めとか、落ちて死んだ人がいるとか、いろいろと世話を焼いてくれた。どうもありがとう(;´д`)。

トラバース後、少し登って不帰北峰の頂上となった。

岩場はⅢ級程度で、手掛かりは沢山あるので注意さえすれば問題ないと思う。実際、団体客やファミリーとすれ違っているので、2度と来たくないと思う人はいるかもしれないけど、命を落とすほどでもないだろう。

頭は開けているので、そこで休息。カッパは暑いので、脱いで行く事にした。岩場はここで終わった。不帰2峰の南峰は、お花を写真に写しながら行った。水滴を帯びたチングルマがとても綺麗だった。

後ろから10人パーティーに追われながら、南峰を過ぎ唐松岳に向かう。途中大きく左に回り込むのだが、ガスに巻かれっぱなしで方向感覚はさっぱりだ。相変わらずガイドの親父さんの声が聞こえ、休むことなく追われるように進み、8:40に唐松岳山頂にたどり着いた。

後は下るだけだ。八方のバスセンターから猿倉へ戻るバスが12時台にあったので、何とか降りたい。地図のコースタイムを見るとなんとか降れそうだ。ガスの中を進み、唐松山荘を過ぎる。大きな山荘だ。

登山道を間違えないように標識を確認し、八方尾根方面に進む。と、何と登山道の脇にライチョウが姿を現していた。周りの人が写真を撮ろうとするので逃げようとするが、逃げ場を失ってオロオロしていた。

八方尾根に入ると、登ってくる登山客が一段と増えてきた。最近はトレイルランが盛んなのか、軽装で走ってくる人が何人かすれ違った。登りの人が来るたびに道を譲ってよけるのだが、その回数も多くて辟易だ。

丸山ケルンまで来ると、ガスも晴れ眺めが得られるようになった。

丸山ケルンから下降途中、樹林帯の手前で団体様を何パーティも見送る。浜ちゃんの10秒飯を飲み、軽く餡ドーナツなど食べやり過ごした。

八方池が見えてくると、夏休みで遊びに来た観光客で混雑も激しくなってきた。口々に景色の雄大さを褒めており、全くその通り、素晴らしい景色だ。多くの人が訪れるのもよく分かる。

10:50 第三ケルンを過ぎ、40分ほど降って八方池山荘のあるリフトの終点だ。ここからは、クワッドを2本乗り継ぎ、黒菱から兎平に降り、ゴンドラで一気に山麓まで降る。料金は1,400円。

ハンググライダー、パラグライダーが上昇気流に乗って飛んでいる。12:00頃山麓駅に到着、八方のメインストリートを歩き、バスセンターに12:10、到着。途中、クマよけの鈴が煩かったらしく、どこかの爺さんになじられた。

上の方は観光客でいっぱいだったが、お昼だと言うのに下の方は閑散としていた。

猿倉までバス代900円、今回も無事に山行終了。


天狗山荘(4:45)-不帰1峰頭(6:40)-唐松岳山頂(8:40)-第三ケルン(10:50)-
バスセンター(12:10)-バス発(12:55)-猿倉駐車場(13:25)