カテゴリー : 山歩き系

2008-07-26 北鎌尾根縦走、槍ヶ岳へ その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半

その1 水俣乗越から北鎌のコルへ
その2 北鎌尾根のコルから独標まで北鎌尾根前半
その4 上のチムニーを登り山頂へ、そして下山

稜線へ出た後独標ピークに上がらず、そのまま先へ進むことにした。独標の稜線に続く先にとんがった岩があり、登るのか、ガラ場を下るのか踏み跡がハッキリしな い。「これ登るのかな?…(;´Д`)ウウッ…、ムリムリ」ってことで、ガラ場をとんがった岩の基部の方へ下って行くと、トラバースできる踏み跡のような ルートが出てきたので、そこを進んで行った。

ここから、北鎌尾根の後半になる。P11~P15のように呼ばれている以外に、小さいアップダウンを繰り返しながら北鎌平へと向かって行く。

なるべく稜線通しで進んで行ったので、小さなアップダウンを結構繰り返した。踏み跡は、ガラ場以外割とハッキリしている。

ガスが薄れ、前方にP12が見えたので、あわててデジカメを出してシャッターを押す。撮った時は、「しっかり写っているのかなぁ?」と思っていたが、後で見てみると、なかなか幻想的で良いかも、と思ったりもする。

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P11がどれだったのか、判然としなかった。登ったのか巻いたのかも良く覚えていないのだが、稜線上を登った後のクライムダウンが非常に悪い所が あって、古いハーケンが打ち込んであった場所があった。クライムダウンの着地場所も急なガラ場で、ガラ場を慎重に越えて小ピークを巻いたような記憶があるのだが、それ がそうだったかどうかは?である。

P12は、2つのピークの間を抜けて行けると記憶していたのだが、鞍部の下は急なガラ場で、下からそのまま登って行けるような感じではない。

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仕方ないので、少しのぼって、鞍部につながる細いバンドを、岩につかまりながら回り込んで行った。すると鞍部の岩の上に出たが、鞍部に降りられず、少し先の岩からクライムダウンして着地した。このルート取りは失敗だった(;´д`)。

この後、鞍部からルンゼ状のガラ場を下り、次に小さなピークを登る。その後、ビバークできるほどの平らな場所があった。

続いて千丈沢側を巻いてP13の下部に到着した。時折、ガラガラと落石の音が鳴り響いていたのだが、3人パーティがロープを利用して取りついていて、ザレた石がガラガラと落ちていたようだ。3番目の人が、ちょうどクラックから上のザラ場を登り切ったところだった。

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落石がなくなるのを待つため、暫く登るルートを観察、そしてちょうど一緒になったN氏が先に登った。N氏は、クラックを直登、その後左側へ少し移り、ザレた斜面を慎重に登って行った。

ここの登りは、計画の時から「厳しそうなところだな」と考えていた場所だ。実際取りついてみると、クラック部分の4,5mは垂直に近いが、ホールド は豊富にあるので、特に厳しい部分はなかった。クラックの上部へ乗り越した後、ザレた緩斜面を登るよりは、少し傾斜はあるが直登した方が岩が安定しているようなので、そのまま上へ登って行った。その後踏み跡がピークまで続く。

ピークからの下りはあまり記憶がないので、毎度のようにガラ場を下ったのではないかと思う。続いて、岩の基部のザラ場を巻いて進んで行く。小さなピナクルの横をすり抜け、さらに進む。

振り返ってみれば、峻険でどこを通って来たのか、いくら見ても分からない(;´д`)。

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更に、DVDで見た記憶のある大きなピナクルを、千丈沢側にすり抜けて行く。生憎のガスで、残念ながらハッキリとその姿を写し撮れなかった。

そして次のピークが現れた。

ここからは、4つ5つピークを乗り越して行くのだが、どれがP14でどれがP15なのか、よく分からなかった。が、今回の目的の1つである「諸君頑張れ」の銘板が見たい、があったのでできる限り直登するようにした。

さて、ここがP14になるのだろうか、直登するには険しく思える。右の方を見ると、基部を巻くように明らかなトラバースの踏み跡が続いている。これなら多くは、トラバースルートへと進むだろう。

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岩をよく観察すると、何となく登れそうなルートが見えて来た。トラバースに行かず、思い切ってそのルートを直登したが、特に厳しくはなかった。全体を通して登りで少しヤバかったのは、大槍にある2つのチムニーの下のチムニーだった。

記憶は定かではないが、登ってはリッジを進み、そして次に現われる岩を登る、ということを数回繰り返したと思う。そのたびに、「ここを登れば諸君頑張れに出会える。」とワクワクしながら、見当たらなくて、数回ガッカリを味わったのだが。

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リッジは相変わらず細いが、岩が黒く、大きくなってきたように感じる。DVDでは、北鎌平に近づいて来るとそうなるようなことを言っていた。岩も前のように細かく砕けている感じがしなくなったので、少しは登り易くなったように感じる(だけだろうけど)。

さて相変わらずのガスではあるが、突然先行していたN氏が「槍が見える」と言って教えてくれたので、慌ててデジカメを出して撮った。

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北鎌尾根から大槍、子槍、孫槍、曾孫槍の全部が見える状態で写真に納まってくれた、貴重の1枚となった。が、写真を撮る方に夢中で、頭の中には、残念ながらその風景は残っていないのだ(;´д`)。

何回目を登った時だっただろうか、多分、北鎌平への登りの1つ手前のピークだったと思う。

やっと楽しみにしていた、「諸君頑張れ」の銘板。その金属製の板は、水平から少し傾いた岩の上にリベットのような金属で打ち込まれていたのだが、下を覗くとそのうちの2本は折れていたように記憶する。雷に打たれたためだろうか、黒く焼けていた。

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トラバースして北鎌平へ出る人は、見ることができないのではないかと思う。北鎌平手前でトラバースから外れて、稜線へ登ってくれば見ることができる。それを考えて、この岩に取り付けたのだろうか?

この次のピークを登ったら、そこが北鎌平だった。想像していたより狭かったので、最初は気が付かなかった。

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しかし、有名な「ここは北鎌平」岩があったので、間違いなく北鎌平だ。

時計は10時40分になっていた。独標の稜線についてから、およそ3時間掛かっている。先行していた3人パーティも、丁度トラバースルートの方から登って来て、ここで一緒になった。

とにかくザックを下ろし、休憩することにした。ここまで緊張の連続だったためか、余り疲れは感じていない。

いよいよフィナーレの大槍への登りと思うと、気が急いて来る。気合いを入れるために、再び10秒飯のゼリーを飲んだ。

北鎌平からは斜面が急になり、岩の上を渡り歩くことになった。ガスで槍がはっきり見えないので、左側稜線を基準にして登って行く。

そうしているうちに、ガスの中ぼんやりと「ハサミの先」が見えてきた。何だか、そこだけ不思議な感じだ。

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登りも、ついついそちらの方へ向かってしまい、ハサミの近くを登ったが、東鎌尾根の方へ寄り過ぎていたかもしれない。登っている岩も、見た感じあまり登られているような感じはしなかったし。

それでも無事に、2つのチムニーの下側に登り着いた。左上の方に、お助けスリングが掛っている。

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右側を巻いて上のチムニーに行くこともできるのだが、終了も近づいているし、ここまで頑張ってきたので、「イッチョー、やったるか!」てな感じで取り付いた。

右側の壁は、手頃なホールドがすぐに見当たらない。明らかに左側からの方が登り易く見えた。そこで、左側の壁を攀じ登ったが、そのまま上にあがれない。どうやら、右の方へ乗り移らなければならないようだ。

右へ乗り移るための右足を乗せる岩を探す。靴底よりは幅は狭いが、足を乗せれそうな岩が飛び出していた。右手はしっかりとしたホールドを掴んでいる が、このまま乗り移っては安定しないので落ちてしまう。そこで左手のホールドを探していると、岩に指が入るぐらいの穴が空いているホールドを、縦ホールド の感じでガッチリ掴めた。

思い切って大きく股を開いてステミングし、右上の方へ乗り越して行く。上の方もガッチリ掴めるような感じではなかった。なので、落ちないように急いで安定するところまで這い上がって行った。

IV級ぐらいあっただろうか?ここは少し危なかった。やれやれだ。

つづく その4 上のチムニーを登り山頂へ、そして下山

2008-07-26 北鎌尾根縦走、槍ヶ岳へ その2 北鎌のコルから独標まで北鎌尾根前半

その1 水俣乗越から北鎌のコルへ
その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半
その4 上のチムニーを登り山頂へ、そして下山

薄明るくなった4時に起きる。インナーやカッパを片づけた後、進むにしても戻るにしても、先ずは腹ごしらえをする。お手軽なのでカップ麺を持ってき たが、あまりおいしくはなかった。お隣は既に出発の準備を始めている。テントから顔を出し空を見上げると、全体的に曇りだが、僅か青空が硫黄尾根の上の方 に覗いている。反対の表銀座の方も明るさが増しているようだ。N氏と話しをし、進むことにした(ところでここは、羽蟻のような虫がうっとしいところだ)。

テントを撤収し、槍ヶ岳の方へ向って手を合わせて山行の無事を祈り、5時20分過ぎに出発した。

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北鎌のコルからは、踏み跡がはっきりしているので迷うことはないが、一般の登山道に比較するとはるかに険しい。

ルートは、進むに従って厳しさを増してくる。これはなかなか良い感じだ。出発したばかりは体が重いし、雰囲気にもまだ馴染んでないのだが、岩や木につかまったり、バランスを取っているうちに体がだんだん慣れてくる。

また、高さがあって怖いと思うようなところも、慣れてくるので登りに集中できるようになるのだ。

天狗の腰掛けを越えるまでは、北鎌尾根は天上沢側は急斜面、千丈沢側は崖っぷちのような感じであるが、どちらへ転がり落ちてももちろん、まずい。

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天気の方はあまり良くない。独標はガスに隠れてしまい、姿がハッキリと見えない。暑くないので悪くはないが、時折吹く風は少々冷たい。雨も降りそうなのでザックカバーを被せ、カッパの上だけ着て進む。

天上沢側から千丈沢側へ尾根を回り込んでから、だんだん登りも厳しくなって来た。所々に岩が現われ、岩とハイマツや樺などミックスの登りとなる。

天狗の腰掛けへは、千丈沢側西面を登って行くが、なかなか高度感のある登りである。手頃な安定した岩のホールドがないため、木の根につかまりながら攀じ登る。

時々振り返っては北鎌尾根の下部を見る。まるでラクダのコブのように連なって、水俣川の方へ落ち込む。標高もどんどん高くなっているのを感じる。

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天狗の腰掛けまで登ると、ようやく独標の全貌が見える位置に来たのだが、ガスが多くなかなか姿を現してくれない。

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天狗の腰掛けもそうだが、そこかしこに花が咲いているのだが、登ることに一生懸命で撮影することもなく通り過ぎてしまった。時折、DVDで言っていた「トオヤクリンドウ」が頭の中をよぎるが、どれがそれだかはっきり分からなかった。

「キバナシャクナゲ」が咲いていたようだが、見間違いかもしれない。「ミヤマオダマキ」だけは、はっきり分かった。

天狗の腰掛けから独標へ向って一旦コルへ下り、次の登り返しとなる。いよいよリッジや岩稜の登下降になってきた。

ちょうど先を行くN氏がルートファインディングをしながら、崖っぷちを登っていた。見るからに怖そうな登りである。が、取り付いてみると体も慣れてきたせいか、案外と登れる。

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多くの人が記録しているように、掴んだ岩のほとんどがグラグラするので、体を預けるときは注意が必要である。ただし、手も足もホールドは豊富にあるので、注意して選んで利用すれば良いだろう。

トラバースする場所も、片側が切れ落ちており迫力満点だが、迂闊に歩かない限りはスリップするほどでもないだろう。しっかりとした登山靴を履いていることが大事だが。

写真で良く見る独標が、だんだんと目の前に迫って来た。ワクワク、ドキドキである。その姿は荒々しく、期待通りの風貌だ。

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独標の基部に着いて、着ていたカッパを脱ぎ、行動食用に用意したジェルを飲んで気合いを入れる。時計を見ると7時10分、北鎌のコルからおよそ2時間だ。ペースも今のところ、それほど悪くないようだ。この先は分からないが?

独標のトラバースルートへの入り口が崩壊しており、出発前に「怖いところだなぁ」と思っていたところである。実際に見ると、やっぱり怖い(;´д`)。

しかし、大天井ヒュッテの方が昨年だか一昨年にロープを張って下さっているので、ハーネスに取り付けたデイジーチェーンのカラビナをロープに掛けて、利用させてもらった。

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縦ホールドではあるが、岩を抱きかかえるようにしっかりと捕まることができるので、恐怖心に駆られなければ容易に通り過ぎることができるだろう。

ガスのおかげで千丈沢も見えないから、高度感があまりない。先ずは、独標で怖いなぁ、と思っていた最初をクリアした。

その後のトラバースルートは、ザレている場所もあるが踏み跡をたどって普通に歩ける。ザレているところから少しづつ右上して行くと、独標で一番人気の「逆コの字」の通過である。

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右側がスッパリ切れ落ちているため怖いのだが、足を乗せるホールドがあるので、思い切って体を崖に対峙させ一歩を踏み出す。さらに先に進むと、自然 と足をバンドに上げられるので、そこからコの字の中に這い上がり、後はハイハイのように進んだ。あまりカッコは良くなかったが(;´д`)。

逆コの字を越えて少し進むと、左へ回り込んで行くトラバースルートになる。ここも、足が乗る程度のバンドをトラバースするところで、右下が切れ落ちている。

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出だし、一段上方へ上がり、その後少しずつ下がって、3点確保を確実にしながら横の方へ移動して行く。

回り込んでしまうと、後は普通に歩けるトラバースルートが続く。左側が岩で、どこから上へ登るか見ながら進む。凹角があると何となく登りたくなるが、そこは我慢、前へ進みながら良く見るチムニーを探す。

と、ここかな、と思うチムニーに出くわした。スリングも掛かっているので間違いない。先の方を見ず、ここを攀じ登ることにした。

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最初、足を溝に突っ込んで見ようとしたが、どうも体のバランスが取れず、突っ込むことができない。諦めて、左足は左側の岩、右足は右側の細かいホー ルドを拾って、体を溝に入れずに攀じ登った。右足は、安定しないので少し厳しい。デイジーチェーンのカラビナをスリングにかけたので、気持ちは安心した (^_^;)。

上の方は、しっかりとしたホールドがあり、そのまま10mほど上がって行く。と、独標の稜線の方へ続くスラブが出てきた。DVDを見たせいか、つい スラブを登ってしまった。スラブを左上して、ハイマツに沿ってザラ場を落石に注意しながら右上、こんなところ登るのかな、と思いつつ足場の悪いザラ場をさ らに登って稜線へ上がった。どうやら、独標ピークより少し下方へ出たようだ。

ここで槍ヶ岳の素晴らしい姿に「ごたいめ~ん」になるはずが、ガスでなーんにも見えません (ノД`)シクシク。

つづく その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半

2008-07-25 北鎌尾根縦走、槍ヶ岳へ その1 水俣乗越から北鎌のコルへ

2008/07/25-2008/07/27 上高地から入り槍沢から水俣乗越へ上がり、天上沢を下降、北鎌沢右俣を北鎌のコルまで上がりビバーク。翌日、北鎌尾根を縦走し槍ヶ岳山頂を踏む。

その2 北鎌尾根のコルから独標まで北鎌尾根前半
その3 独標から山頂直下のチムニーへ北鎌尾根後半
その4 上のチムニーを登り山頂へ、そして下山

先々週、双六岳と笠ヶ岳へ行ったのが、どうやら気持ちに火が付いてしまった原因だと思う。あの憧れの「北鎌尾根」へ行こう、と。偶然、会社の方も来週の金曜日は休みを取ることができそうなので、一気に行くことに気持ちが傾いた。そのため、出発前の1週間は仕事に身が入らなかった(;´д`)。

単独行故、ルートと装備は悩んだ。岩稜に雪が付いていたらアウトであるが、インターネット上で調べた記録や、大天井ヒュッテの小池さんの14日に行った状況のアップして下さった情報を見ると、幸いその心配は無いようだ。

ルート上の心配なところはざっと、

  • 北鎌沢右俣のルート間違い
  • 独標入口のトラバース
  • 独標トラバースルートからのチムニー取り付き、独標稜線への登攀
  • P11 ルンゼ下降
  • P13 白ザレのクラック直登
  • P14 P15 直登

である。どの記録を見ても、いま一つハッキリしない。行ったことがないので当たり前であり、行ってみて納得もした(その辺は次回へ)。

装備であるが、ロープを持って行くかどうか、が最大のポイントだった。ネット上の記録では特に懸垂する箇所はなく、今回お世話になった山渓のDVD にもラペルする地点の説明はない。そこで、「ロープを使わなければ進めないような、無理押しはしない。」というように気持ちを切り替え、持って行くのをや めた。

北鎌尾根に行く上で重要な点として、体力と技術である。一旦尾根に上がるとエスケープルートがないため、如何に早く山頂まで抜けられるか、なのであ る。自分のパワーは、原付の50ccエンジンほどで、スピードが早いわけでなく、馬力があるわけでなく、長時間行動ができるわけでもない。ということで、 軽量化を図り、ルートも1日目に北鎌のコルまで上がってビバークすることに決めた。

24日夜、自宅を出発し12時半過ぎ、いつもの沢渡駐車場へ駐車、4時にアラームをセットして仮眠する。天気予報は、上空に寒気が入り込むため晴れ一時雨、の予報がこの一週間続いている。

起床後、4時半前に車から降りて準備をしていると、タクシーの運転手さんが相乗りを誘ってくれた。ありがたいことに、隣に駐車した3人組と同乗する ことができたため、バスより一足早く釜トンネルのゲート前に到着、ゲートも時間より早く開けてくれ、上高地で計画書を提出して出発したのが、5時過ぎと思 いのほか早く行動開始することができた。因みにタクシー料金は4000円固定(とのこと)で、バスなら往復乗車で1800円である。

上高地から入るのは久しぶりである。特に、横尾経由は横尾までが長いので、敬遠しがちだ。さらに、平坦な道のりのため、あまりスピードを上げると後に響くので注意もしなければならない。

明神に着くと、既に登山者が表に出て出発準備をしている。ここから見える明神岳は5峰あたりだろうか。明神を過ぎたあたりから、下山者とすれ違うようになってきた。徳沢や横尾に宿泊した人たちだろう。徳沢で一息入れ、横尾で朝食のサンドイッチを食べた。

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横尾を出発、林道もここまで、ようやく山歩きの雰囲気になった。と思ったら、迷彩服の自衛隊の団体皆様とすれ違った。何故か気恥ずかしかった。

一ノ俣、二ノ俣出合の橋を渡り、登山道も登り坂になってくる。槍沢ロッジを越えると、右側に東鎌尾根末端の険しい山容が見えてくる。

ババ平は、元の槍沢ロッジがあったところで、現在はキャンプ場に指定されている。仮設トイレが設置され、水も引かれていた。ただ、水の出は細く、雪渓からかなりの距離をパイプで引いてあるらしく、ぬるま湯になって出ていた。

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登山道は整備され、槍沢の護岸のため、河原の石が針金のネットできれいに敷き詰められているため、大変歩きやすい。槍ヶ岳登山において、このルートは距離が長いが、肩の小屋まで何の心配もなく登れるので、登山客が多いのも理解できる。

上高地を出発してから5時間20分、ようやく水俣乗越の分岐へ到着した。

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水俣乗越へのルートは、右側の東鎌尾根稜線へ急登するコースだが、踏み跡などしっかりとした登山道である。

この沢を詰めて行くのかと思ったが、沢からはずれ尾根を上がるようにぐんぐんと高度を上げてゆく。振り返ると、天狗原方面だろうか、雪渓と緑がコントラストのカール上の地形が見える。

登りも気持ち緩やかになり、空が左右に広がってくると、直ぐに水俣乗越のコルに出た。

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時刻は11時半過ぎ、北鎌沢出合でビバークするか、北鎌のコルまで登ってしまうかは、北鎌沢出合に14時までに到着するかどうかで決めようと考えていた。はやる気持ちを抑え、ここで昼食とした。

乗 越は、人のいる領域といない領域を分ける分水嶺のようだ。ここを下ると容易に戻ることができない、と言う悲壮感さえ感じるのは、きっと厳冬期だけだろう。 この時期なら、ここを登り返してもいいし、貧乏沢を登ってもいいし、天上沢を下って湯俣に出てもいいので、それほど心配する必要はない。でも、下降を開始 すると、やっぱり身の引き締まる思いがした。

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最初はザレた急坂を下降、左手沢には雪渓が下まで続く。草付きをつづら折りに下降、そのうち右手の藪に入る。

藪を抜けたところは、右手上部からの雪渓の沢で、100~150mぐらい雪渓上をそのまま下降、雪渓が切れた後は涸れ沢の河原を下降する。アイゼンは必要としなかった。

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そろそろ水筒のポカリもなくなりつつある。が、水は間の沢と出合うまで取れない。

この河原の下降はつらかった。左上北鎌尾根上部は、ガスで覆われており、天気もあまり良くない。どうかビバーク地まで降らないように、と願うだけである。

間の沢出合でようやく水を補給、喉を潤す。そこから少し下降すると、左手北鎌尾根から一気に押し出してくる沢に出合う。ここが北鎌沢出合だろう。あたりを見回すと直火した後もあり、間違いないようだ。

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ようやくスタート地点に着いた気分だ。天上沢は白く、広く、下流を見ても上流を見ても人の気配はない。時刻も14時前である。今はまだ天気ももっているし、ここは、思い切って北鎌のコルまで上がってしまおう、と決めた。

地形は、DVDや写真を見た通りで、天気が悪くなければそうルートを見誤ることはないように見える。この辺が落とし穴のようだ。実際登ってみると、「あれ?」と思う箇所がいくつかあった。

北 鎌沢に取り付いてすぐに、右俣から下降してきた単独行者とすれ違った。ルートに3人組1パーティと単独行者1名が入っていること、右俣の水流はすぐに切 れ、水量も細いので早めに補給しておいた方がいいことなど。それにしても彼は、北鎌尾根を行って帰って来たようで、そのパワーに圧倒された(カッチョエ エ~奴)。

彼と別れた後、直ぐに左俣と右俣の出合に到着。ここで、今晩と明日の縦走に必要な水を補給する。2Lのカモノハシと1Lの水筒、別に500mlのペットボトルで都合、3.5Lの水の重量は、容赦のない重石となってザックに収まった。

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水俣乗越がおよそ2500m、北鎌沢出合がおよそ1800mで700m下降、これから北鎌のコルおよそ2500mまで登り返さなければならない。この登りは、河原の下降で疲れており、時間的にも10時間に及ぶ行動になっているのでかなりまいった。

北鎌沢右俣は、急登の上、大きな岩がゴロゴロとしていて、背丈以上の岩がいくつかあり、それを乗り越えて行くので大変疲れる。あるところでは、大岩 を左側から乗り越して行くと、そのまま左の支沢へ入って行くところがあった。また、右側からは踏み跡と思われるような支沢が入り込んでいる。ルート判断を 誤る原因が、この辺にあるのではないだろうか?

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高度はどんどん上がるので、振り返ると喜作新道から下降してくるという貧乏沢がハッキリと見える。沢のあちこちに雪渓が残っているようだ。休むたびに振り返り、徐々に喜作新道の稜線が目線の高さに近づいてくるのを感じる。

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幸い、日光は雲に遮られており、熱中症になるほどではない。しかし、20分置きぐらいで休みを入れないと、とても登り続けられない。が、雲が少しずつ厚くなり、夕立が来そうな雰囲気である。どうかコルにたどり着くまでもってくれるように、と願うばかりである。

左右の空が広がってきて、コルに近づいていることを感じる。が、ぽつぽつと雨が降り始めた。足を速めるが、思うようには登れない。

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とにかくザックカバーをして、ザックの中を探り、カサとカッパを取り出しやすい位置に移動して行動に移る。見る見るうちに雷鳴が轟き始め、雨が強く なる兆しを感じる。沢の真ん中で大雨になるのは怖いので、急いで草付きの尾根に取り付いた。と、同時に激しい雨音と共にシャワーのように雨が降り注いでき た。

急な草付き斜面でカサをひろげ、転げ落ちないようにかがみ込んで丸くなる。雷鳴が近付いて来ているので、周りを見ながら落雷の無いことを願い、肝を 冷やす。北鎌沢に取り付いた時間を考えるとコルに近いはずなのだが、この上はコルなのか、そして右の方なのか左の方なのか、どうも判然としない。

雨足が緩んだので、滑りやすい草付きから、もう少し安定する岩のある右上方へ、草につかまりながらトラバースする。が、更に雨足は強くなり、雷もい よいよ近くで轟いている。喜作新道の稜線も再び雨雲に覆われ、何も見えなくなった。とにかく、雨が弱まるのを待つより仕方がなさそうだ。しゃがみ込んだ足 は痺れ、背中から伝わってくる雨水がしみ込み、気持ち悪い。

周りの風景を見るに、どうやらコル直下の「右へ右へ、最後は左へ」のところで、右に入り込んでいるような感じがする。土砂降りの中、どうやって急な草付き斜面を左へトラバースするか考える。

幸い、降り始めて30分以上過ぎたところで、雨足が再び緩んだ。折りたたみ傘をポケットに突っ込み、両手を使って小枝や草につかまり、一気にトラバースして行く。とすると、すぐ左上にコルにたたずむ黄色いテントが見えるではないか。

なんだ、本当にコル直下だったんだ。雨と汗でずぶ濡れになって、ヽ(`Д´)ノウワァァァン。

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テントは、湯俣から入山したという単独行者N氏のものだった。狭いコル上でテントを寄せてくれ、場所を開けてくれる。奇しくも同じテントだった。もっともこちらは1人用、あちらは2,3人用であるが。

時間も5時近くで、夕飯の支度をして寝る準備にかからないとならない。しかし、靴から靴下、パンツ、シャツとずぶ濡れ状態だ。N氏がラジオの天気予 報で、「高気圧が消え、熱帯低気圧が台風に変わった」ことを伝えてくれた。明日はここを下って、水俣乗越を登り返さないといけないのかな?と、「敗退」の 2文字が頭をよぎる。

バーナーでテントの中を温め、糖分を水分と共に補給、夕飯の支度をしながらパンツを乾かす。吐き気がする中、無理にでもお腹に詰め込む。人様にはとてもお見せできる姿ではありませんでした(;´д`)。

夜は、軽量化のためシュラフはなくインナーのみ、おまけに下半身は濡れており、こんな状態で果たして眠れるのだろうか?

暗くなり始めたので、フリースを着こみ就寝。夜中に寒くなったのでカッパを着こむ。何度も目覚めたが、それでも無事に朝を迎えることができた。

つづく その2 北鎌尾根のコルから独標まで北鎌尾根前半


上高地出発(5:05)-明神館(5:55)-徳沢園(6:45)-横尾山荘(7:45)-
二ノ俣(8:50)-槍沢ロッジ(9:20)-水俣乗越分岐(10:20)-
水俣乗越(11:35)-間の沢出合(13:00)-北鎌沢出合(13:30)-北鎌のコル(16:45頃)

2008-08-13 新穂高温泉から双六岳・笠ヶ岳の稜線山歩その2

1日目へ戻る 新穂高温泉から双六岳

2008/07/13 4:00にセットした腕時計のアラームで目覚める。夜2回ほど目が覚め時間を確認したくらいで、標高2500mにもかかわらず風の音もなく、寒くもなく大 変静かな夜だった。夜明け前にテントをたたむ音や登山道を歩く足音がしていたが、ご来光を拝む登山者だったのだろう。

起床してから朝食、片付け、テントの撤収、パッキングをして行動開始するまでが、朝の第1ラウンドである。本当は、コーヒーなど飲んでまったりとしたいところだが、翌日から仕事のあるリーマンは、山の上でもせかせかとしなければならないようだ(T_T)。

5:00過ぎにテンバを出発し、昨日回り込んできた樅沢岳の巻き道を、南の方へ戻って行く。西鎌尾根から槍ヶ岳へ行く人は、小屋の前から樅沢岳を登って行くことになる。

巻き道から稜線へ出ると、視界が一気に開ける。昨日は見えなかった槍ヶ岳、穂高連峰などスッキリと見える。槍ヶ岳の左側の稜線が北鎌尾根、手前の中 崎尾根が西鎌尾根にぶつかった所が千丈沢乗越、槍ヶ岳右側へ大喰岳、中岳、南岳、キレット、北穂高岳、涸沢岳、奥穂高岳へと続いている。

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笠ヶ岳方面を見ると、青空の中、白と緑のコントラストの稜線が、はるか向こうの方までつながっている。

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今日の午前中、この天上のルートをずーっと歩み続けるわけである。嬉しいけど、下るころはヘトヘトであろうことが、頭をよぎった。

あちらこちらを、デジカメで写しながら進む。人一人通らない。1時間ほどで、昨日、鏡平から上がって来たときの分岐点に着いた。

そこから10数分で弓折岳である。稜線左側に、ちょっとしたピークがある。これがその弓折岳ではないかと思い、ハイマツの藪の中へ踏み込んで見る。 人の歩いた後はあるが、ピークへ取り付く踏み跡が見当たらない。無理やり登ろうとしたが、時間が気になったので止めた。その後稜線へ戻ると、右側にもう1 つのピークがある。上がってみると三角点があった。こちらがそうなのか?

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さらに先へ進む。下りに入る。大ノマ乗越の鞍部への下りである。階段などがあり登山道は整備されている。

大ノマ乗越の鞍部は、テントが設営できるような場所である。木の標識は朽ちて倒れており、弓折岳と笠ヶ岳の矢印が鞍部に寝かされていた。

右側の緩い斜面には樺の木であろうか、白い幹の低い木が斜面に生えている。全体的に優しく明るい雰囲気のあるところだ。

いよいよ登り返しである。下の写真のように、稜線に雪渓が残っており、登山道が半分以上隠されているため、雪渓上を登って行くのだが、これが結構長くて大変だった。

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天気が良かったので、お日様の反射で眩しかったり暑かったり、足を取られたりした。この先に、頭が平らなピークが見える。大ノマ岳であろうか、そこで休息することにした。

時刻は7:30、小腹が空いてきたので軽い食事をすることにした。

食事をしていると突然、鈴の音が聞こえ秩父平の方から年配の夫婦の方が登ってきた。本日最初の人との遭遇である。笠ヶ岳山荘から来た人たちのようだ。挨拶を交わし、鏡平を下るとのこと、早々に去って行った。

こちらも出発、いよいよである。ようやく、笠ヶ岳が稜線の一番端に見えるようになった。あそこまで行くには、写真の右手下方、秩父平まで下降、その後は登り返しとなる。

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秩父平まで下る途中で、数パーティの登山者とすれ違った。皆、笠ヶ岳山荘から出発した人たちなのだろう。秩父平に到着し、雪渓を登る準備をしていると次から次と登山者が下降して来る。急な所が45~55度くらいの角度の雪渓で、下降点からロープが張られていた。

その一段下の雪渓は、斜めにトラバースしながら下ってくることになる。

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中には単独行の方もおられ、明らかに雪渓に不慣れな人もいると見えて、年配の登山者の方が心配して、下方で準備している自分に声を掛けて来て、「注視して欲しい」などのお願いまでされてしまった。

取りついてみると、雪は腐ってはいるが、ステップを切っていけばそれほど問題ない。上の段に着くと、ロープの下方で中高年の団体の女性陣が、黄色い声を上げながらシリセードしている(;´Д`)。

上の段は少々角度があるが、3分の1ぐらいまで夏道が右側に出ていたのでそちらを登り、途中からロープで下降しているところまで雪渓をトラバースし て、後はキックステップで直登して行く。跳ね上がったシャーベット状の雪が腕や顔に飛び跳ね、冷たくて気持ちが良い。一気に高度を稼ぎ稜線まで上がった。

その後、登山道はしばらく上方へ続いてゆく。途中、ピヨピヨ鳴き声が聞こえたので、もしやと思ってみたら登山道に親のライチョウ、ハイマツの中に雛がいた。久しぶりにライチョウを見た。

そして秩父岩の上方まで登ってくると、左手から回り込んだ稜線が真っ直ぐ進み、少し左上へ向けてその先の笠ヶ岳まで続いて行く。この稜線山歩はすばらしい。標高は、地図から見るとおよそ2700mぐらいだと思われる。

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抜戸岳から笠新道の分岐があり、そこから新穂高温泉に下るのだが、天気が悪かったり、疲れたらサッサと下ろうかと考えていた。が、この景色を見てしまったら、何としても笠ヶ岳の頂上を踏みたいと思った。

稜線を進んで行くと、左手に抜戸岳ピークへの標識があったので立ち寄って行くことにした。

9:20 あまり人気のない場所なのだろう、はっきりしない踏み跡をたどってピークに着いた。登山道からとの標高差はそれほどない。眺めは良い、と言っても今までも そうだが、どこもかしこも良いので、特別良い、という訳ではない。しかし、もし笠新道を登ってここに到着したら、とても素晴らしい景色に会えることにはな る。

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少しガスが出てきたので急ぐことにする。抜戸岳の少し先に、新穂高から登ってくる笠新道との分岐点があった。その標識にザックが2つデポされてい た。どうやら、双六小屋のテンバを暗いうち出発した二人組パーティの物のようだ。自分も水をフリースに巻き込み、腰に巻きつけ、ザックをデポして笠ヶ岳ま で往復することにした。

時刻は9:45、往復で約2時間だから12時頃に戻って来れればいいだろう。その後4時間で林道まで下り、駐車場には5時頃の到着になるだろうか。などと考えながら、身軽になったので軽やかに進み始める。

すぐに、ザックの持ち主と思われる二人組と遭遇する。軽く挨拶を交わしすれ違う。

さらに進み、途中、岩の間を抜ける。どうやらこの抜戸はこの岩から来た名称のようだ。

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身軽なのでどんどん進む。視界には、名前の由来からくる笠の形をした笠ヶ岳が、ハッキリと見えるようになった。その手前鞍部には、笠ヶ岳山荘も見える。

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登りが少しきつくなり、小屋の下部は雪渓を登り、小屋の手前でハイマツ帯に入って物置小屋の所に出た。

登山者はすべて小屋を後にしたのだろう、小屋の玄関前のベンチで小屋の人たちと思われる方々が談笑している。軽く挨拶をして、そのまま笠ヶ岳山頂へ向かう。

小屋からは、ガレてはいるが頂上へは登りやすいように登山道が整備されている。

11:00 笠ヶ岳山頂に到着。頂上は東西に細長く、どうやらこれが下から見ると笠の平らな部分に見えるようだ。

天気も見晴らしも良く、登山客は自分一人、昨日に続き一山貸し切り状態となった。虫がぶんぶんと五月蠅いが、思わず横になってくつろいでしまった。

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楽しいひと時を過ごすも、西の方から大分雲が広がってきたので、お暇することにする。小屋まで下り、良く冷えた野菜ジュースを買って飲み、足早にザックの所まで戻る。途中、単独の登山者と2回すれ違った。

12:10 ザックをデポした分岐まで戻り、荷物をまとめ下降の用意をする。これで稜線散歩の旅とお別れだ。分岐を抜戸岳の尾根筋まで乗越し、杓子平目指して下降する。少し雲が広がってきたかなと思ったら、杓子平手前の雪渓の下降で雨が降り始めた。

杓子平は、稜線から一段下降したなだらかな広い地帯で、とても気持ちのいいとこなのだが、落雷にあってはかなわないので、とにかく足早に笠新道の急坂な下りに向けて進んで行く。風があまり吹いていないので、折りたたみのカサを広げた。

笠ヶ岳でカサ、どうも失礼しました(;´Д`)。

笠新道の急坂をつづら折りに下る。足にくるし、水も残りわずかとなってしまい、なるべくゆっくりと進む。14時ぐらいだっただろうか、登って行く単独行の人とすれ違った。少し驚いた。

下降するほどガスも薄くなり、雨も上がった。ようやく、向かいの中崎尾根の稜線より下になり、沢の勢いよく流れる水の音が大きくなってきて、沢の白い河床がハッキリとみえるようになった。

15:50 昨日、左手に見送った笠新道の入り口に降り立つ。昨日は水場があることに気が付かなかったのだが、すっかり水を飲みほしていたので、思いっきり水分を補給する。そうしていると、ワサビ平の方から中高年の男女の団体が立ち寄って来て、写真を頼まれた。

話しを聞くと、昨日、この笠新道から登り、今、鏡平から降りて来たという。どうやら、秩父岩の雪渓で、シリセードしていた方々のようだ。早々に分か れ、駐車場までの林道歩きをもくもくと進む。途中、「お助け風穴」だったと思うが、冷気が噴き出してくる岩穴があった。昨日歩いているときは、全然気付か なかったのだが。

16:40 登山センターに到着、下山報告を投函。16:50 駐車場に到着。1泊2日、稜線山歩の旅の終わりである。この後、新穂高方面に来るといつも立ち寄る「ひらゆの森」で汗を流す。増築して新しくなっていたの で、少し戸惑った。本当なら飛騨牛の焼肉定食を食べたかったのだが、一人では寂しいので止めた。今度はどこへ行こうかな?


双六小屋テンバ出発(5:15)-鏡平分岐(6:10)-大ノマ岳(7:30)-
抜戸岳(9:20)-笠ヶ岳(11:00)-新穂高分岐(12:10)-杓子平(13:10)-
林道笠新道入口(15:50)-新穂高温泉無料駐車場(16:50)

2008-07-12 新穂高温泉から双六岳・笠ヶ岳の稜線山歩その1

2008/07/11 新穂高温泉の無料駐車場で出発前夜一泊、と言っても駐車場に着いた時には、既に12日の午前1時になっていた。早々にシートを倒し、腕時計の目覚ましを4時半にセット、ブランケットを被り仮眠した。

原油の高騰など物価が上昇しており、運転するにもアクセル操作に気を使っている最近、山行もなるべくお金を掛けずに行きたいところだ。ところが、穂 高に入るための上高地となると、沢渡駐車場やバスなど結構出費しなければならない。そこで、今回の計画は新穂高温泉の無料駐車場を利用して、穂高の稜線、 槍ヶ岳を西側から眺望することにした。もっとも安房トンネルの料金は避けられないが(^_^;)。

今回もガーミンのGPSを持って行ったが、スイッチの入れ忘れと電池切れで中途半端な結果に終わってしまった。後ほど、秩父沢の雪渓横断で迷った部分を見る。

2008/07/12 4時半起床、僅か3時間だがぐっすり眠れた。コンビニで買ったシュークリームを食べ、5時に駐車場を出発した。10分ほどで無料温泉のある上の駐車場に到着、登山センターに山行計画書を投函し、蒲田川にかかる橋を渡って左俣谷へ入って行く。

蒲田川を渡り返し、少し先のニューホタカホテルの先にゲートがあり、そこから一般車は入れない。ワサビ平まで、1時間20分ほどの林道歩きとなる。 左手に大掛かりな砂防ダム工事を行ってる穴毛谷を見送り、もくもくと林道を進む。1時間くらいのところで左手、笠新道の入り口がある。予定では、明日ここ に戻ってくることになる。自転車が1台デポされていた。

ワサビ平でトイレを拝借、休憩してから出発する。20分ほど進むと奥丸山との分岐に到着、景色が開け、山登りの開始となる。

ここにも自転車がデポされていた。そう言えば、ミニバイク(モンキー)も見かけたし、どうやら、林道歩きをカットする方法のようだ。帰りの下りは気持ち良いことだろう(^_^)。

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このあたりは雪渓が残っており、この先も雪渓を歩くことになる。前回の八ヶ岳天狗岳では、雪渓はほとんどなかったので楽しみだ。

河原に入って、早速雪渓の上を進んで行く。ペンキで記された石もあちらこちらにあるので、迷うこともないだろう。

雲が多く、西穂高岳の稜線が見え隠れしている。槍ヶ岳から奥穂高岳の稜線は、間に横たわる中崎尾根のため、まだ見えない。

秩父沢の広い押し出しの河原を登り続けると、秩父沢の渡しに到着した。と思ったら、橋が掛かっていない。

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「目印に沿って高巻きして雪渓の厚い所を渡って下さい」と書かれている。石に飛び移って渡れそうな気もしたが、足止めのロープが気になったので渡るのを止めて、仰せの通り従うことにした。

休憩後出発、岩と木の間を抜けて行くと雪渓に出た。雪渓が切れる左手岸の木のところどころに赤布がかかっている。それを目印に雪渓を上がって行く。 目印がなくなったところが渡渉点だろうと思いこみ、さらに上がって行く。赤布の切れた場所で反対側を見ても、林の入口が見えない。

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こんなに上なのだろうか?と思いつつ対岸に渡ったが、こりゃ違うわな。入口を探し、雪渓を下ることにした。ほどなく、入口が見つかった。雪渓に入ったら、そのまま渡って行けば良かったようだ。

この迷いもGPSにはしっかり記録されているのだった(;´д`)。

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登山道に戻り、「ココはチボ岩」と書かれた岩を過ぎて行く。小さな雪渓を越し「そろそろ休みたいなぁ」と思ったところに、岩に矢印とともに「カガミ  1.5h」と描かれた場所に出た。時間は9時ちょうど、駐車場を出発して4時間が経過したところだ。先はまだ長いので、ここで朝食を取った。

途中、景色の良い原っぱみたいな所(多分シシウドガ原ではないかと、)を通り過ぎ、大きく右へ進路を変える地点に来た。

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ここから、右手の弓折尾根との間の沢を詰めて行く。登山道のあちらこちらが雪渓に隠されているため、雪渓の上を登って行く。途中、キヌガサソウをデ ジカメに収めながら進む。尾根の上部がだんだん近づき、傾斜が緩みだし、沢の幅も狭まってそろそろかな、と思った頃、尾根の上部の平らな所に出た。

視界は一気に開け、ようやく槍ヶ岳を望める場所へ来た。北アルプスも昨年は訪れていないので、久しぶりである。

そしてこの鏡平は、すばらしい景色が望める場所である。いつか、ゆっくりと再訪してみたいと強く思った。

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槍ヶ岳の姿は、本日これが最初であり最後となった。鏡平小屋の前のベンチを借りて休息後、稜線へ向けて最後の登りとなる。

鏡平を出発し、弓折岳の方へ高度を上げてゆく。鏡平はすでに眼下となり、上方には稜線へと続く登山道が、緑の山肌を一直線に稜線へ右上する。ようやく、楽しみにしていた稜線歩きが近付いてきた。

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1時間ぐらいしたところで、左が笠ヶ岳、右が双六小屋へ行く分岐点に出た。時刻は11:20、お腹も空いたのでおにぎりを食べて一休憩する。稜線での食事はおいしい。槍ヶ岳の眺望が素晴らしい、はずではあるのだが、残念ながら雲に隠れてしまっている。

稜線歩きの始まりである。小さなアップダウンを繰り返し、左側は双六谷とその向こうに双六岳から双六南岳の稜線、振り返れば笠ヶ岳へ続く稜線、前方には樅沢岳と双六岳の鞍部に立つ双六小屋が見え隠れする。疲れを忘れさせてくれる景色である。

しばらく景色を楽しみながら進み、樅沢岳の西斜面に回り込んで行ったところで、本日のテンバとなる双六小屋に到着した。早速小屋へ行ってテンバ料金500円を支払い、まだ1張りしかない広いテント場で、寝心地のよさそうな場所を確保して設置した。

時刻は12:30、スープやレモネードなどで水分を補給、お日様が雲間から心地よく照らしてくれ、ぽかぽかしたテントの中でしばし仮眠した。

気が付くと時刻は2時になったところである。夜までには時間もあるので、双六岳へ行くことにした。時間と気力があれば三俣蓮華岳まで足を伸ばしたい、と考えてもいたのだが。

双 六岳へは、小屋のベンチと水場のある所から急登する。登り切ると双六岳への急登、三俣蓮華岳への中道ルートの分岐に着く。ここから山頂への急登には雪渓が 付いていて危険なため、中道ルートを進んだ途中から山頂へ登る方を行くことにした。もっとも、ここも先ほどよりは緩いが、雪渓が付いている。

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雪渓を登りつめて山頂の稜線に出た。ここは、双六岳山頂から南東方面へ向けて幅の広い、平らが続く長い稜線であった。

天気があまり良くないので、雷雨の心配をしながら山頂へ向かう。お日様の当たり具合が、この双六岳から槍ヶ岳までの北側は晴れで、とても眺めが良い。反対側は雲に隠れ、明日行く予定の笠ヶ岳も見えずあまり良くないのである。

時刻は15時を過ぎ、人もいなくなり、2860mの山一つが貸し切り状態となった。それにしても広くなだらかな山頂である。便所のような狭いところの方が落ち着くと思うのは、何故だろうか?

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雲に隠れて見えないが、天気が良ければ槍ヶ岳が見えるであろう。それに向かって、空母の滑走路のように平らな稜線が延びているので、ガスに巻かれたりしたらどこを歩いているか分からなくなるかも知れない。

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小屋から急登した後の分岐でさらに急登すると、きっとあの舳先へ出てくるに違いない、と思うのである。

これで、本日のお務めはすべて終了だ。テントに戻って、夕食を済ませ寝るだけとなった。

来た道を足早に戻る。小屋の上から眺めた写真が右である。テンバは小屋の右側の部分。見づらいが、張られているテントが少し増えているようだ。

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16:20 テンバに戻り、夕食の支度にかかる。メニューは中村屋のレトルトカレー、これがまたおいしいのなんの。山の上で食べるせいであろうか、はたまたすきっ腹にまずいものなし、であろうか。

夕食後、小屋に行って夕陽を浴びた三俣蓮華岳の山腹をデジカメに収め、明日の天気予報を聞いて、本日は就寝することとした。

つづく2日目 双六小屋から笠ヶ岳の稜線散歩


新穂高温泉無料駐車場(5:00)-ワサビ平(6:30)-秩父沢渡し(7:50)-
カガミ1.5hの石(9:00)-鏡平(10:10)-笠ヶ岳稜線分岐点(11:20)-
双六小屋(12:30)
双六小屋(14:15)-双六岳山頂(15:15)-双六小屋のテンバ(16:20)